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村上春樹さんイタリアの文学賞を受賞し、記念講演!!

村上春樹さんがイタリアの文学賞であるラッテス・グリンツァーネ文学賞の「ラ・クエルチャ」部門を受賞し、10月11日の夜、イタリア北西部アルバで記念講演を行いました。

ラ・クエルチャ部門は国際的評価の高い作家に贈られ、今年で9回目。過去にノーベル賞作家のパトリック・モディアノさんらが受賞している。

村上春樹さんは、「洞窟の中のかがり火」と題した講演で40年前のデビュー当時を回想。
「ねじまき鳥クロニクル」などの自作を例に挙げながら、計画を立てずに書き始める独自の創作論を展開。 イメージや情景が浮かぶと、短い文章にして印刷し、いったん机の引き出しにしまう。そうした「衝動的に書き付けた使い道のない文章」は数多く引き出しに眠り、ごく一部が時間とともに熟成して「自発的」に物語へと発展すると説明した。 最初から筋立てや結論を決めてしまうと、僕はあまり面白くない。自由に書くことで「自分の無意識の領域にアクセスできる」とし、頭で論理的に作るのではなく、心で見いだした物語を紡ぎ出せれば「人々の魂と深いところで結び付くことができる」と、その真意を語った。
自由を重視する書き方は、好きなジャズの即興演奏から「大いにヒントを得ているかもしれない」とも話した。

最後に「小説の歴史は人間が洞窟で暮らしていたときから存在します」として、たき火の前で語られ、人々を空腹や恐怖からつかの間解放した物語が、小説の原初形態だと続けた。小説家はそのような語り手たちの末裔であり、「世界の色んな場所の暗闇を照らすことができたら、それにまさる喜びはありません」と締めくくると、会場は大きな拍手に包まれた。

村上JAM

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